世田谷ビジネス塾第50回目によせて

島田 ともか 

message_flowerこの度は世田谷ビジネス塾第50回目の開催おめでとうございます。
記念すべき節目の回に参加できないのは残念ですが、今回50回目によせたメッセージのご依頼をいただき本当に嬉しく、光栄に思います。

 今の会社に入社してから最初の3年余り所属していた部署は、典型的な『オールドタイプの日本的企業』といった風土で、管理職の男性上司たちが期待をもって接するのは同僚の男子社員ばかりでした。
 彼らと対照的に私たちはともすれば名前でなく『事務員さん』『女の子たち』と呼ばれ
悪気はなくとも「事務員のやっている仕事は頭を使わない仕事」と断言する上司さえいたくらいで、次第に『メンバー』『一員』としては見てもらえないやりきれなさがどんどん心に沈殿していきました。
また同時に女性に対し『総合職』『一般職』という区分を作ったのは男性であるけれども、実際にプレイングマネージャーとして、組織のフラット化が進んだ現場で忙しく働く男性上司たちが女性部下の心境に寄り添うことなど期待するほうが甘えなのかもしれないという諦めも膨らんでいったのです。

 そんな時、偶然にも書店で『女性が職場で損する理由』という一冊の本を手に取りました。ちょうど今から3年前の1月です。
 読めば読むほど『頑張りたい女性たち』に対して、諦めないでほしいという本気の思いが伝わってきました。
 当時の私は職場の女性部下の扱いに不平不満をもつ一方で、総合職として働く選択肢を考えた途端、それに伴うリスクや責任が怖くなってなんの行動も起こせずにいたところでした。そんな時、その本の中に『ミスをしたくないばかりに、仕事を取りに行かなければ、ミスもしないかわりに、大成功もありません。結果的に「何もしなかったこと」が、目に見えるようになったときには大失敗になっていることもあるのです』
 この言葉は躊躇していた私があと一歩ふみ出すための大きなよすがとなり、その後部長面接、役員面接を経て気が付けば社内で初の一般職から総合職へ職種転換した社員となりました。
 それからしばらくして世田谷ビジネス塾の存在を『一生働く覚悟を決めた女性たちへ』という続編を読む中で知り、初参加したのが2011年12月の回でした。

 あれから1年経ち、しんどいこともたくさん経験しましたがそれでも徐々に営業の仕事に達成感を覚えられるようになりました。
 翻ってみると、1年前は『女性だからという理由で部下育成をしない上司は許せない』
『私たち女性にももっと可能性があることを分かってほしい』という思いが強すぎてどこか肩に力が入りすぎていたように思います。
 けれども期待してくれるお客様やこちらを待っているお客様に第一線で接して自分がどれだけ応えていくかに取り組んでいるうちに心のあり方が変わりました。
 もっというと何かを考えるときに主語は『私たち女性は』ではなく『私は』あるいは『自分は』に変わりました。
 『女性が職場で損する理由』のなかに「人生をどう生きたいか、何が自分にできるのかを考えたいものです。男性も女性も関係ありません。」という文章がありました。
やはりそこが私の原点になっているのだと実感しています。
 仕事をするうえで人とのご縁や、与えられる仕事を大切にし、「自分はどうしたいか」をしっかり考えることをこれから積み重ねていきたいと思っています。
 そしてその積み重ねの結果として、いつか会社や社会が「女性だって、頑張る人がたくさんいる」という考えがメインストリームになったり後から続く女性たちが「私も頑張ってみよう」という気持ちになってくれればいいな。今はそんな風に、肩の力がぬけて自然体で仕事に取り組めるようになりました。
中国の作家、魯迅の小説に出てくる一説は私の座右の銘の一つです。

思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。
それは地上の道のようなものである。
もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。

背中を押してくれた古川先生の御著書、そして職場での悩みにたいして多くの示唆を与えてくださる世田谷ビジネス塾の皆様との出会いをこれからも大切にしていきたいと思います。

素晴らしい出会いに感謝をかみしめて。

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