非常時にJRは山手線だけでも運行すべし

非常時にJRはせめて山手線だけでも動かすべき
-大都市パニックに対する鉄道事業者の社会的責任-
-非常時にこそ必要なリーダーシップー

今回の地震当日(3月10日)のJR東日本の対応は、
地震よりひどいものであった。
 
地震発生後、他の鉄道会社に先んじて
JR東日本が早々に「本日休業」を決めた。
確か、10日の午後7時か8時ごろに発表したと記憶する。

安全運行を考えることは重要ではあるが、
大都会の人の輸送に対する社会的責任も同時に
認識する必要がある。

ほとんどすべての私鉄や地下鉄が、
地震後路線や設備の点検をしたあと、
運転再開したにもかかわらず、
JR東日本はその一部さえ運行を再開しなかった。             

大都市は、そのインフラの一部の機能を失うだけで、
時に全体機能を失ってしまう。

多くの人が歩道や車道を埋め尽くして
オフィスから自宅に徒歩で帰り、
帰れぬ大勢は寒い地下通路や駅周辺の
ビルのロビーで夜明かしをするということになった。
 
JR東日本は、なぜ山手線だけでも再開しようと
しなかったのか。都市のインフラ機能を担う
他の鉄道は、それなりに貢献していた。
大都会に取り残された人たちのために、
人員輸送という使命を全うした。
ほとんどが朝まで運行していた。大変立派である。

他の鉄道会社は、儲けるために早期運転
復旧したのでない。採算性の低い終日運行を
したことからも明らかである。やはり、鉄道事業者として
社会的義務を果たしたかったのであろう。

私は、地下道で夜を過ごしている大勢の男女を
横目に見ながら、午前3時ごろに地下鉄半蔵門線と
田園都市線の大手町から駒沢大学まで利用して帰宅した。

途中の渋谷駅に着くまで8割ほど座席が埋まったが、
立っている人はいないぐらいの混みぐあいであった。

繰り返しだが、JR東日本は、メトロポリタン東京の
大動脈たる山手線だけでもなぜ動かさなかったのか。
路線検査で重大な欠陥があったのであれば、
そう発表すればよい。

他の私鉄や地下鉄に復旧後の終夜運行ができ、
JRにできない理由は何なのか。

山手線を動かすことでどれだけの人の移動に
貢献できたか。安全性を優先するという名目を
掲げたのかも知れないが、社会的責任を考えないで
早々と本日休業を決め込んだJR東日本の考え方に
多いに不満である。

当日、私は丸の内のある会社で缶詰になったので、
結果、仲間10人近くと会議室でテレビ報道を
午後3時ごろから翌早朝3時ごろまで
事細かに見ることになった。

「今日は運転を行わない」との早々の発表に対して
「エエッ?」という仲間の声が上がったが、
「いや、今日は運休と言ったのであり、
夜中12時を過ぎて明日になれば、
なんらかの対策を打ち出すのかもしれない」
という希望を持った意見もあった。

しかし、それは現実にはならなかった。
それどころか、翌日になっても、再開はずいぶん遅かった。

企業は、多くの場合、不確定要素やジレンマを含めた中で
意思決定を行うのが常である。また、自分の保身のみが
大切という意思決定ではいけない。

平時のリーダーはだれでもできる。
非常時こそ本当のリーダーの出番である。

冷静沈着でいなければいけないが、
同時に事の重要性や社会的意義も考え、
大胆な意思決定を下す必要がある。

私は、国鉄からJRに変わって、従業員のサービスが
驚くほどよくなったと評価していたが、
今回の情けない意思決定を見て大変落胆した。

重要事項の意思決定など本質は国鉄時代と
何も変わっていないのだろうか。

会議室にいた仲間の一人がこういった。
「あれば、一番新参者の私鉄ですから」と。
なるほど首都圏で一番新しい私鉄である。

しかし、元々国家の事業であり、また最要地区の路線を
保有する事業者である以上、他の私鉄をリードする
企業であって欲しいものだ。

もし、国鉄時代からの「親方日の丸」意識が継続している
のであれば、なんとも情けないことである。

古雀

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