(第三回)講師:川嶋文信氏

主催:株式会社多久案(たくあん)

三井物産エネルギー戦略と私~商社のエネルギー戦略と遂行者の人間力に学ぶ

講師川嶋文信氏 (三井物産株式会社執行役員 エネルギー第一本部長)

fuminobu_kawashima 1952年 生まれ
1976年 一橋大学経済学部卒業
1976年 三井物産株式会社入社、輸送機械部
1979年 英国修業生、オックスフォード大学
1980年 三井物産ザンビア、キットウェー事務所
1981年 三井物産本店、ガス部LPGグループ
1988年 米国三井物産、ニューヨーク本店石油課
1992年 三井物産株本店、天然ガス部
1995年 三井物産株本店、サハリン開発チーム
2003年 豪州三井物産株式会社副社長兼メルボルン支店長
2005年 三井物産本店、天然ガス第一部長、
2005年 三井物産本店、LNG事業部長
2007年 三井物産株式会社執行役員、エネルギー第一本部長

川嶋文信さんについて

 偉ぶらず、気さくで、自然体の川嶋文信さん。

 「人の三井」には熱血漢タイプや猪突猛進型も多いが、川嶋さんはソフトな九州男児であり、そのさわやかさに出会う人が魅かれる。

 天然資源のプロジェクトといえば、開始から完成までに10年~20年はゆうにかかる。パートナーの国々の文化やビジネスのやり方も違うなか、たくさんの関係者を取りまとめることも必要。論理的であり、説得力が高いことが求められる。プロジェクトとは、ゼロからモノを創造すること。川嶋さんはこの能力が卓越している。

 他人に押し付けることなどまったくしない人だが、読書家で勉強家、そして懐が深い。やはり、こういう人間力(右脳的リーダーシップ)がビジネスの世界に求められる。

 仕事の内容に加えて、優秀なリーダーの人間力を講演で学びたい。

古川ひろのり

日時 平成21年6月24日 水曜日
会場 ベルサール飯田橋
東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル2F
場所についての詳細と地図をメールで送る
参加者 75名

参加企業名

日興コーディアル証券、ディビックス、早稲田大学政治経済学部、GCM、神戸製鋼所、パラゴン、ビー・スタイル、和晃、情報技術開発、日本トランスシティ、H&BP、住宅金融支援機構、日本駐車場開発、DUO柏中央、水戸証券、オークネット、アークビジョン、ホリプロ、アクタスマネージメントサービス、森ビル、三井物産、協進印刷、GABA、財務アドバイザーオフィス、TMコンサルティング、アップル、中京大学、住友林業、日本実業出版、NPO情報システム、かんき出版、テレビ東京、NPO江戸しぐさ、アオイテック、アイビーダイワ、みずほ証券、エコロードコンサルタント、鹿島道路、BARCA 【順不同】

三井物産川嶋文信氏の講演を聞いて

 今回で3回目のプラチナビジネス塾となる。
 第1回は私が話をさせて頂き、第2回は住宅金融支援機構の島田理事長。そして今回が三井物産の川嶋執行役員の講演だ。
 当日の参加者は70名強。35~50才ぐらいの中堅層が一番多いが、20台の若手社員も目立つ。大学生も10人近く参加している。

 定刻に開演となり、川嶋さん登壇される。
 日本のエネルギー事情について、ご説明が始まる。
 先ずは、地球温暖化対策から。1990年の世界のCO2排出量は215億トンであり、1997年で270億トン、2010年では302億トンと予想されている。20年で1.5倍になってしまう。このままいくと2050年に620億トンとなってしまうが、それを140億トンに押さえるには、原子力発電の強化、発電時の炭素隔離・貯蔵、燃料効率向上などをやっていかなければならない。簡単な目標ではない。
 続いて、原子燃料、石炭、石油・天然ガスなどの個別説明がある。(省略)

 川嶋さんは1981年頃から三井物産エネルギー本部の仕事を開始されるが、その仕事を通して一番の思いは、サハリン2プロジェクトである、と。
 1976年に三井物産に入社後、機械部や英国留学、海外勤務を経て1981年エネルギーとの出会いある。

 サハリン2について。1986年に三井物産のパートナーと共同作業を開始し、入札、フィージビリティスタディ契約、現地会社設立、契約を行う。1999年に原油生産の開始となる。その間、パートナーの一部が撤退、逆にロシア側が事業参画する。日本の客先数社に契約を締結し、2009年にLNGの第一船での出荷となる。
 20年以上かけての事業に自分がずっと携わってきて、やっと日本向けのLNGの出荷となった。たいへん大きな感動であったと想像する。

 プロジェクトとはゼロからモノを創造すること。異文化でさまざまなパートナーの言い分があるなか、その取りまとめがたいへんだ。実際に何度も大きな問題にぶち当たっている。論理的であり、交渉力がないと解決などありえない。そんな苦労をしながら、若い頃から川嶋さんがずっと見てきた事業である。
 普段から偉ぶることなく自然体の川嶋さんであるが、やさしい言葉の中にもサハリン2というプロジェクトを成しえてよかったという気持ちが伝わってくる。

 司馬遼太郎の「坂の上の雲」に登場する秋山好古は「人間生涯で一事をなせばよい」と言っている。そのためにも単純に生きろとも言う。
 今の時代は、物質的に豊かな時代であり、特段の制限もない。やろうと思えば何でもできるではあるが、何に手を出しすぎて、結果何も成し遂げていない人が多いのではない(もちろん、私もその一人であるが)。川嶋さんのお話の中に一事をなすことを強く感じた。

 論理的でさわやかな川嶋さんのお話に会場は大きな拍手を送っていた。
 川嶋さんありがとうございました。

(文責:プラチナビジネス塾 古川ひろのり)

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三井物産のエネルギー戦略と私