夕刊フジ(2013年6月18日号)

2013年(平成25年)6月18日発売

夕刊フジ2013年6月18日

「人の上に立つ人」の勉強になる「言志四禄」

本を読み、語り合う「世田谷ビジネス塾」を原則第三土曜、駒沢大学教室で開いています。

2部あり、第1部(立志会と命名)は課題図書を読んできてもらい、皆で読後感を話します。先月は拙著『女性を活用できる上司になる』を課題にしました。今月は濤川栄太『今、父は子に何を語るべきか』、7月は渋澤健『渋沢栄一-100の訓言』、9月は『女性と仕事』(未翻訳)、10月は『ビジネスマンの父より息子への30の手紙』、11月はスマイルズ『向上心』。ビジネス書、自己啓発書、歴史書で、サスペンス物と恋愛物は勘弁してもらっています(笑)。同じ本でもこんなに感想が異なるのかと思うことが、しばしば。会社の悩みと絡めて深い読み方を見せられ、絶句することもあります。

第2部は読書会で各人が読んで感銘を受けた本を持ち寄り、感想を述べ合います。年間100冊読む人、財務系の本ばかり読む人がいるかと思えば、どっぷり歴史書につかり、児玉源太郎を語らせたら止まらない人などさまざま。どちらの部も参加自由です。どうぞお越しください。

私の本の選び方は関連づけて広げていくというもの。最も好きな本は佐藤一斎『言志四禄』(全4巻・講談社)ですが、「人の上に立つ人」の勉強になる書ですね。一斎は幕末、昌平坂学問所のトップだった人です。

面白いのは維新の英傑、西郷隆盛が一斎の遺した1133の言葉から101を選んで書きとめ、大事にしていたこと。前後して、稲盛和夫さんの講演を聴いたこともあり、稲盛さんが西郷について書いた『敬天愛人』(PHP文庫)を読みました。

描かれている人物が影響を受けた人は誰か、描かれている人物を尊敬している人は誰かと考えると広がります。熊沢蕃山に影響を与えたのは中江藤樹。中江が尊敬したのは王陽明(陽明学の始祖)、陽明は孔子に学んでいるという風に。彼らに共通するのは、”志を持て”だと考えます。

最近では柳井正・大前研一共著『この国を出よ』などが印象深いです。

三井物産課長時代を基にした『課長のノート』(かんき出版)を始め、自著は多数。エピソードを多く入れ、読みやすさを心がけています。

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